胸の力を抜くこと
昨日の八光流の稽古から。
つかまれた右手を落として相手を崩す動き
じゅうぶん肩と腕の力が抜けているとしても、最後に腕を落とす動きで胸の力が抜けていない。
ここでいう「胸」とは胸郭全体のことではなくて、肩の付け根で鎖骨の下あたり。解剖学でいう烏口突起の下で小胸筋の付着部あたりのこと。つまり、他の力が抜けていたとしても小胸筋の力は抜けにくいということかと。
小胸筋が張っていると肩を前に巻き込むので、肩と上腕はまわりにくい。反対に小胸筋がゆるむと肩甲骨がゆるみ、脊柱が楽に立つ。すると肩と上腕は自由になる。
この原理は指圧にも使える。
圧す(おす)時にどうしても肩・腕・指に力が入りがちなので、この部分の力を抜こうとはする。けれども、小胸筋を抜くことは特に意識しないとできないこと。圧点に指を置いて肩・腕・指の力を抜き、さらに小胸筋を抜くと、圧は柔らかく深く入っていく。
前から両肩をつかんできた相手を右に振り落とす
腰椎「だけ」を右に回旋(骨盤や胸椎は回さない)。
次に胸椎「だけ」を右に回旋(鎖骨や肩・顔は回さない)。
次に肩を右に回旋。
こうして動きに必要な部位「だけ」に力を入れ、他の力は十分抜けていると、腰からの回旋運動が順に肩に伝わり、相手は右に振られていく。
だが、肩を回す段になったとき、小胸筋が抜けなくてそこで引っかかってしまうことがある。
そこで、小胸筋を抜くには…「おじいさんの恰好をする」と師匠はいう。
小胸筋に引っかかって動きが止まってしまったとき、まず腹の力を抜いて、次に胸郭の力を抜いて、そして小胸筋を抜く…これが結果的におじいさんの姿に似る。つかまれた肩を動かさずに体の前面を抜くと、そこで詰まっていた力が動き相手が動く。
後から羽交い絞めにされた
太ももの上で手掌を下向きに、「八」の字に開く。これで相手が密着する。
そのまま真っ直ぐ腰を下に落とす。相手も落ちる。
そこで上記の回旋運動を加えると、相手は後ろから振り落とされる。
八光取り・手鏡
手のひらを返すのは中指を軸にして回す。母指を上に回すと相手とぶつかる。
手刀
相手との接点の皮膚を引っ張る。引き付ける。「切る」のではない。
肘窩を上向きにすると前腕は自然に落ちる。