スクリーンの枠

2023-01-01雑感

今から30年も昔の話です。それまでBasicや一太郎、Lotus123などで使っていたNECのPC9801をパソコン通信に初めてつないだ時、アナログ電話回線につないだモデムの「ピー、ガー、ビヨンビョン…」という音の先に出現した掲示板の広がりを見たときの驚きとときめき。それまでスタンドアロンのブラックボックスだったPCが、世界につながる窓となった瞬間でした。

その窓の向こうに世界があった。

そしてインターネットが始まり、文字通りPCはグローバルな世界への窓口になり、情報がそこからあふれてきた。見ず知らずの世界の人と、文字だけとはいえ話ができた。楽しかった。

あれから30年。あのときPCを食べてしまえばよかった…(盗作、すみません)

今や片手にもったスマホの向こうにグローバルな世界は広がっている。…ように見える。
しかし、普段見ているのは全然グローバルじゃない。興味をそそるエンタメやゴシップ、ニュースだけ。SNSに遅れてはトレンドに乗り切れないから、駅の階段を上り下りしていても目を離せない。

そういう時代になりました。

それで。身体は今どうなっているでしょう?

最近多く聞く主訴は、首と肩のコリ、目の疲れと頭痛です。
触らせてもらうと前頸部の奥、舌骨筋に硬いコリがあり、のど元から鎖骨の際までスジ状に緊張がありました。これは首を前に曲げてうつむく姿勢を続けている結果でしょう。聞くとCADを使う仕事と、やはりスマホを使う時間が多いとのこと。

液晶の発する光は目に影響するでしょうし、指先でスマホの画面を操作しますから手首が固まり、前腕から上腕、肩口にかけて筋肉の疲れがたまります。胸側から肩を前に引くので巻き肩や猫背になり、肩と背中が張り、腰も痛くなる。

こういう痛みにお悩みの方は多いのではないでしょうか。

しかし問題は身体だけではないと思うのです。
視野がPCやスマホの小さな画面にとらわれて、その枠内でしか思考が進まない、ということもあるのではないでしょうか。

脳と身体は別物ではありません。人間は身体を使って思考していると言えます。

最近のスマホはスクリーンサイズが大きくなり、広角レンズも搭載されて随分広い範囲で写真を撮れるそうですが。でも、窓を開けて外を眺めれば前後左右に180°の世界が拡がっているはずです。

スマホの狭いスクリーンの中に自分の身体を閉じ込めてしまっていませんか?

Posted by 清水 俊一