胸を開く

一日一読,動き,筋肉

『新版一流選手の動きはなぜ美しいのか からだの動きを科学する』(小田伸午 角川選書)を読んでいます。
肩凝りは胸が閉じていることが原因で肩と上腕が内旋し、胸筋が緊張して背中側の筋肉を緊張させている、という関係を読みました。肩凝りを解消するには「胸を開くこと」と筆者は説いています。( 肩凝りは胸凝り?(その2) を参照)

さて、それでは「胸を開く」とはどういう状態でしょうか?

多くの人は胸の前の方を大きく張り出そうとするのではないでしょうか。けれど調べてみると、胸郭は前後よりも横方向に広がるようなんです。特に胸郭の下部は左右に広がります。主に横隔膜の収縮と弛緩が呼吸を促すので、それに応じて胸郭も動きます。動画をご覧ください。横隔膜の他に、肋骨の内側にある外肋間筋が吸気に関わります。

(ヒューマン・アナトミー・アトラス2019による)

小田氏はこう言います。「猫背とは、背骨が上下方向に丸い、と思っている人が多いですが、その実体は、背中が横方向に丸いこと、つまり胸が閉じていることなのです。」

「横方向に丸い」とは、肋骨を、後は肩甲骨の下あたりから前の鳩尾(みぞおち)のあたりまで丸めている状態で、呼吸が浅い状態で胸郭が固まっている姿と言えます。

とすると、胸を開くためには鳩尾あたりを前に張り出すようにようにして、胸郭の下辺から肩甲骨あたりを楽に開くといいわけですね。小田氏は鳩尾を前に出すには「頭の位置をわずかに引く」と述べています。これも微妙な言い方ですが、私が柔術の稽古で教わったやり方をお伝えします。簡単です。

背面を壁につけて立つ。頭・肩・腰が壁から離れないように立つと、頭の重さが背骨にニュートラルに支持されるので、余計な筋緊張がなく立つことができます。こうすると胸も楽に開き呼吸も楽になりますし、前肩(巻肩)も修正され肩の力を抜くことができます。お試しください。

Posted by 清水 俊一