指圧の心 母ごころ

2023-01-01雑感

映画『おくりびと』は山形県の北部、庄内地方が舞台でした。私の実家は県南部の置賜盆地にあります。先日、母をおくりました。

「指圧のこころ母ごころ 押せば命の泉湧く」は母が子どもを思うように優しく指圧をする、というように受け取られると思いますが、浪越徳治郎師の伝記を読むと、リウマチの母を楽にしたくて指圧に目覚めたということだそうです。すると、「指圧のこころ」とは「母を思うこころ」とも言えるわけですね。

91歳の母が胃癌で亡くなりました。
自宅で妻と看取りました。コロナの影響で受け入れる病院がなかったこともあります。大変なことはありましたが、それでよかったと思っています。
最後の一週間はほとんどしゃべることがなかったのですが、足を指圧していたときに私の名前を呼んで「本望だ」と言いました。それが最後に聞いた母の声でした。

指圧をやっていてよかったと思います。胃が悪いと背中が痛むのですが、筋に沿って圧していると気持ちがよければうなずき、そうでなければ指先で指示します。声がなくても意思疎通ができたと思います。ただ、きりがなく圧せという動作にはまいりましたがね。(笑)

亡くなる前の晩、「今日はここまでね。また明日」と言って指圧を終えた私に母はうなづきました。そして翌朝、様子を見に行ったときにはもう冷たくなっていたのでした。

「お疲れさま、よく頑張った。」思わずつぶやいていました。

Posted by 清水 俊一