股関節周りのストレッチ

2023-01-01トーマステスト,動き,操体法,筋肉

60歳を過ぎると自分の身体がおもしろくなります。筋肉は固くなるし関節は動きづらくなる。若いころは意識しなくてもなんとかスムーズに動きに移れたのが、このごろはきちんとストレッチしないと動き出してくれない身体になりました。

おかげで、どういうときに身体が固くなりどうすると柔らかくなるか、自分で確かめることができます。いわば自分の身体で遊べるようになりました(笑)

トーマステスト

さて、この日は足の付け根のあたりが動きづらい感じがあったので、トーマステストをやってみました。下の動画をご覧ください。右膝を引き寄せると左足が引きずられて上に上がってしまいます。これは、左足の付け根の筋肉が固くなって伸びていないからです。おそらく腸腰筋が縮んでいます。また大腿直筋の付け根に引き攣れる感じがあります。

腸腰筋は腰椎から始まる大腰筋と腸骨窩(腸骨の内側)から始まる腸骨筋からなります。両方とも腹の内側から鼠径部を超えて大腿骨の内側(小点子)に終わります。大腿直筋は腸骨の前(下前腸骨棘)から始まり太ももの前側を下り、膝を越えて脛骨の上部までつながっています。大腿直筋は膝痛の方にも大事な筋肉です。

どちらの筋肉も股関節を跨いでおり、これが縮んでいると脚がうまく回せません。

©️PRiCO(ぷりこ)

©️とだ

操体法的ストレッチ

これらの筋肉をストレッチするのに「操体法」のやり方を応用してみました。

操体法の原理は「気持ちのいい方に動かす」です。左の股関節が固いからと言ってそこを伸ばすために体を後ろに反らし、かかとを持ってそれを後ろから無理にお尻につけようとすると、鼠径部が引き攣れてとても痛いのです。操体法では痛い方ではなく痛くない方、気持ちのいい方向に動かすと身体のバランスが整うといいます。

下の動画をご覧ください。1回目は右膝を抱えると左膝が上がっていますが、3回目を終えた後は左膝が、完璧ではありませんが伸びています。

最初に右膝を抱える動作がまず苦しそうですね(笑)。右膝はこれ以上胸に近づけようとしても鼠径部が詰まってしまって苦しいのです。でも、抱えた膝を伸ばすのは楽です。膝に手を添えたまま伸ばすとそれに腕が引っ張られる形で上体も持ち上がります。このとき、腕の力を抜いて、膝が引っ張るままに任せるのがコツです。決して力を込めて上体を引き上げているのではありません。あくまで気持ちよく引っ張られています。

ある程度上体が持ち上げられると、膝が前方向に引っ張る力と上体が後ろに倒れる力が拮抗して動かなくなるポイントがあります。そこでしばらく動きを止めたまま拮抗を維持し、次に全身を脱力します。

痛いのが効くというのは誤解です。あくまで気持ちのいい動きが身体に効くこと、操体法ではそれを実感できます。

Posted by 清水 俊一