『日本を、信じる』
瀬戸内寂聴 ドナルド・キーン
2012年3月 中央公論社発行(文庫 2015年2月25日)
昨日寝しなに読んでいた。文庫で小さい薄い本だがすぐ読み終わるのがもったいない、じっくり味わいたい本だ。
東日本大震災のあと、寂聴さんが東北の各地を訪ねて見聞きした様子がまるでドキュメンタリーの映像のように浮かぶ。
ドナルド・キーンさんは東日本大震災のあと日本に帰化したが、帰化することについては大震災の前から考えていたという。帰化を決心するにあたって高見順の日記に書かれたこと重なった、と語る。
終戦直後、高見順が東京大空襲の跡を見に出かけた際、上野駅が大混雑になっていた。しかし群衆は「誰もが静かに整然と並んで汽車の順番を待っていた」ことに驚く。高見順は次のように日記に書いたそうです。
「私はこうした人々とともに生き、ともに死にたいと思った」
ドナルド・キーンさんは 2019年2月24日、東京で亡くなった。合掌